【本紹介】書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方 [ 山中 伸枝 氏 ]

書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方 [ 山中 伸枝 ]

価格:1,650円
(2021/10/24 21:39時点)
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「老後がなんとなく心配」「とりあえず保険」「株は怖い」「現金が一番よね」という、日本人の心配性+投資アレルギーが重なった結果、日本人の資産は増えず、「一億総中流」はいつの間にか崩壊した。
 「FIRE」という言葉が流行り、一部の人は節約+副業+投資のコンボで確実に資産を増やしているだろうが、まだ大部分の人はNISA、投資信託でも敷居が高く感じるだろう。NISAの口座数は、金融庁サイトだと2021年3月末時点で1586万口座(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/datacollection/index.html)と低い。

 そのような「なんとなく不安だけど預金と保険よね」な人たちに向けて、金、投資の知識を1、2段引き上げることを目的にしただろう本。コンビニムックサイズで薄く、手に取りやすさは十分。
 内容は、まず「なんとなく不安な老後」の「なんとなく」を、年金が制度として崩壊しなさそうなこと、「ねんきん定期便」でもらえる金額がある程度わかることで少し解消し、かつ、貯金だけでは不足するだろうことを明らかにする。「預金しておけばいいでしょ?」からもう一歩進めるために、NISAやiDeCoの紹介、投資信託分散投資の考え方の説明。「やっぱり保険は必要」と思う人向けに、より効率的な保険の選び方。
 投資信託は預金、国債の次にリスクが低そうだが、いざ一歩踏み出そうとした初心者は、つい銀行で「流行りのもの、おすすめなもの教えて」と言ってしまうだろう。それでは金は増えない。(私も10年前同じことを言った。そしてアクティブ型+分配型+一括購入+完全放置した結果、資産は半分になった。)ではどこを見てどう比較してどう買えばよいか。解ってしまえば簡単な話なのだが、そこに行きつくまでに金を減らしかねない。そして減ってしまうと臆病になり、投資から背を向けてしまい、貯金だけだらだらと貯めていき、老後の資金が不足する。(まぁ貯金があるだけマシなのはさておき。)

 預金+保険の呪縛から逃れられない人、少しリスクをとって投資・運用してみたいが銀行に行くのは怖い人、そもそも何をすれば金が増えるのか分からない人に向けて、簡単に幅広く基礎知識が得られるだろう一冊。(完全に初心者ならちょっと難しいかもしれないが。)既に投資信託や株を始めている中級者が、自分の知識を再確認したり、少し不足部分を補ったり、家族や友人に「えー、投資って危険だよね?」とか言われた場合にどう説明するかを考えるのにも良さそう。
 特に年金部分については詳しく書かれており、「年金ってまだまだ遠い世界の話だよな」とか思っている自分としては結構知らない情報も多かった。
 ただ新興国を入れるバランスポートフォリオは最近だとあまり流行らないような気がするが……まぁ投資初心者が「安心・着実・大きく」金を増やすにはちょうどいいところなのか。


 と、こういった初心者卒業投資本が書店に並び、ここまでNISAやiDeCoといった施策で政府が国民に投資を推奨し始めて数年……と思いきや、2021年9月に行われた自民党総裁選や総選挙では、「投資している人は一部の金持ちだから税金増やすべし」のような議論がちらほら出てしまっている。
 わずかなリスクをとりつつも資産増加に向けて一歩足を踏み出そうと思う人々に対して、政府はもう少しサポートしてくれても良さそうなものだが。2021年11月の新政府はどうなることやら。

(2021/10/24記。翔泳社ブックアンバサダー企画で出版社からいただいた本の紹介です。)

 

 

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